思い返せばそう、あれは一学期最後の日。
            我々が突如、異世界へと転移したところから、この難局は始まった。
            
            生徒総数一万人の晴天学園が丸ごと
            地球ではないどこかのジャングルのど真ん中に、だ。
            しかも、生徒から職員に至るまで全員が
            フェアリーやらエルフやら獣人やら、異種族に変異してしまっていた。
            
            これには流石のこの私、生徒会長“暴君“黒揚羽聖十郎も面食らってしまったとも。
            ……気づいたら身長が三十センチメートルになっていたのだからな!
            
            さらには襲い来るモンスター、過酷な大自然、失言、政敵からの批判、あと失言……
            数多の脅威により、私の政治基盤はもはやガタガタだ。
            遺憾の意を表明せざるを得ん。
            
            まあ失言は私のセルフ失態だが、それはさておき。さておきだ。
            諸君。我々はこの難局を乗り切るため、
            異世界で生き残るために必要なものが何か、すでに知っている。
            
            そう、青春である。
            
            この世界では、青春してる奴が強い!
            
            青春すれば生活も充実するし、メンタルも上向くし
            なんでか知らんがスキルも覚醒する!
            
            だから青春しろ! 弾けんばかりの青い春で異世界を塗り替えろ!
            我が晴天学園生徒会は、生徒諸君の青春を粉骨砕身の思いでサポートする所存である!
            ……つまり、要するにだな。
            
            これは――青春に命を懸ける我々の、長い長い一夏の物語なのである。
        
    - 作家
 - ヤマモト ユウスケ
 
- イラスト
 - まご