キマイラ文庫

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デモンズナイトフィーバー

喜多山 浪漫

episode 14

 地元征服率60%……

 地元征服率70%……

 地元征服率80%……


 順調に地元征服をしていくも、俺の気持ちは晴れなかった。

 ぴよちゃんを救えなかった悔しさが、いまだ胸の奥底でくすぶっている。


「キルキルキルキル……。」


「何をしているのだ、狂死狼よ? 頭のおかしいやつだとは思っていたが、ついに壊れたか。南無阿弥陀仏……」


「念仏を唱える邪神のほうがよっぽどおかしいと思うんだが……」


 と前置きししつつ、俺は邪神様の疑問に答える。


「これはな、ぴよちゃんを巻き込みやがった神をキルノートにノミネートしてるんだよ」


「キルノート……」


「中2のときから書いてる、いつかキルしたいやつリストだ。ま、日記みたいなもんさ」


「えらく物騒な日記だな。……貴様の闇もなかなか深そうだ」


「……別に。闇なんて御大層なものじゃねえよ。世界はクソ。人間なんてクソ。みんな滅びちまえと思ってるだけさ」


「ふむ。キルノートか」


 と言いながら、邪神様が目にも止まらぬ早業で大切なキルノートを取り上げ、読み始める。


「どれどれ……」


【キルノート】

 2年B組 田中恭志郎

「隣の席の女と目が合った。

  ゴミを見るような目だった。

  いつかキルしてやる」


「数学のテストが0点だった。

 全問正解なのに、なぜか全部バツだ。

 あの教師……キルしてやる」


「修学旅行の班分けがあった。

 俺はどの班にも属さない一匹狼。

 寂しくなんてない。全員キルしてやる」


 うっ……! 頭が……!

 やめろ。

 俺の暗黒の歴史を朗読するんじゃない。


「ずいぶん虐げられてきたようだな」


「……これしきのことじゃ俺の超合金製のメンタルはビクともしねえよ」


 強がってみた。


「にゃははは。超合金製のメンタル? その割には貴様のキルノートとやらには女々しい恨み言がビッシリではないか」


 あっさり見破られた。


「ふ、ふん。何とでも言え。いつかキルしてやると思って耐え難き日々を耐え抜いてきたんだ。このキルノートがなかったら今頃、俺はきっと……」


 * * *


 ……なるほどな。

 ただの穢れた魂の持ち主かと思っていたが、この男も虐げられ、世界に絶望していたのか。

 デモンズナイトフィーバーに選ばれた理由がわかった。

 魂が共鳴したのだ。


 神をもキルノートにノミネートする気概も悪くない。

 この男なら、デモンズナイトフィーバーを成功させるやもしれぬ。

 いや、成功させてもらわねば困る。

 そして、邪神として復活した暁には神との決戦だ。

 次こそは、必ずや、神を、殺す。