キマイラ文庫

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エトランジュ オーヴァーロード ~反省しない悪役令嬢、地獄に堕ちて華麗なるハッピーライフ無双~

喜多山 浪漫

episode114

幕間狂言:正ヒロイン、好感度チェックに勤しむ+ほくそ笑む。

「ステータス」


 ふふふ。

 このところステータスを確認するのが楽しくて仕方がない。毎日どころか、朝昼晩、就寝前の最低4回は見ている。

 レベルやHP(ヒットポイント)を確認しているわけではない。いるはずのない魔王はもう始末したことだし、戦闘能力を上げたところで恋愛上級者になれるわけでもないのだから興味がない。

 私が日々ステータスの確認に勤しんでいる理由はただ一つ。好感度チェックだ。


 好感度とは、攻略対象キャラとの恋愛進捗度を示すもので、相手からまったく好意を持たれていない場合は最低のE、相手に揺るぎない愛を抱かれている場合はSと表示される。

 現在の好感度は――


 ナイトハルト・フォン・アインツェルゲンガー:好感度S

 ジークフリード・フォン・ゼーレ:好感度S

 シュテルクスト・フォン・ヴァイザー:好感度S

 エミール・フォン・フリューゲル:好感度S


 ふふふ。

 何度見ても気持ちがいい。

 第一王子は言うまでもなく遥か以前から好感度S。でなきゃエトランジュへの婚約破棄&断罪イベントも、私との婚約も実現するはずがない。

 先日の魔王とのラストバトルという重要イベントでは多少のトラブルはあったものの、無事に魔王退治も成功した。

 第一王子をはじめとした勇者パーティーの命を救い、魔王退治に多大な貢献をした私はこのたび晴れてエーデルシュタイン王家より光の聖女に認定されることが内定した。

 ちょっとだけ計画にずれは生じたけれど、結果は上々だ。


 光の聖女と言えば勇者に並ぶ伝説級のレア職業であり、神の代弁者である。認定されればエーデルシュタイン王国のみならず、世界中の神を崇める信者たちから尊敬と崇拝と称賛を集めることになる。

 闇属性の魔女として忌み嫌われていたエトランジュでは絶対に手にすることができない称号、それが光の聖女だ。


 ジュエルの謀略のせいで危うく計画が台無しになるところだったが、禍を転じて福と為す。魔王が聖白竜だったせいで一瞬ピンチを招きはしたが、その甲斐あって第一王子以外のメンバーも好感度MAXという喜ばしい成果を引き出せた。

 結果オーライ。これで攻略対象キャラは全員私のものだ。


 魔王とのラストバトル以前から私に夢中だった勇者パーティーの面々は、命を救われてますます私を崇拝するようになった。命の恩人なのだから当然と言えば当然か。

 しかし、それからというもの彼らが何かと理由を付けては私と逢引きしようと必死なので、こちらは毎日時間管理が大変だ。

 若い肉体を持て余している彼らと寸暇を惜しんで逢瀬を重ねてあれこれするわけだから体力の消耗も激しく、身体がもたない。おかげでこのところ回復ポーションのお世話になりっぱなしだ。


 ジュエルだけはついに最後の最後まで、生涯を通じて一度も私に好感を示さなかった。

 攻略対象キャラの中では一番付き合いが長いのに、好感度は最低のEからピクリとも動かなかった。腹立たしいったら、ありゃしない。

 ……まあいい。あれは所詮、下賤な出自の男だ。将来、〇〇となる私に相応しい男ではない。最初から攻略対象キャラではなかったものと割り切るのが健全だろう。


 さて……。

 エトランジュも、両親も、ジュエルも始末した。

 私の邪魔をするやつは、もう誰もいない。

 エンディングに向けて、じっくりとこの至福の時を楽しむとしよう。


 重要イベントも残すところわずか。

 光の聖女認定。

 第一王子との結婚式。

 そして……。


 何もかも順調だ。

 あとはハッピーハーレムエンドをこの手につかみ取るだけ。


 やっと幸せになれる。

 やっと……。